2021年3月1日
羽仁もと子の言葉をお届けします 3月
旧いものから新しいものに移ってゆくその状態は、
花から実になるのと同じでなくてはならない、
またそうなるべくすべてが造られているのだと思う。
花は実のために咲くのではなく、花はその花自体をほんとうに咲くならば
花の雌蕊はおのずから花粉を宿し,子房はひとりでに実にまで育ってゆく。
花がいつ実に変わったか、花は花として咲き楽しみつつ咲きつとめつつある間
に,実はおのずから成るのである。しかも花と実は同じものでなく、
その価値も花は花として、実は実として各々別である。
「旧と新と」 ―思想しつつ生活しつつ(下)―