人間として幸福になることを望まない人は一人もないでしょう。私たちはどうしたら幸福になれるでしょうか。
まず第一に、私たちがそのうちに棲んでいる時間も空間も、しばらくも一つどころにとどまらずに動き流れているように、私たちの境遇もしじゅう動いているものです。幸福だ幸福だと思っているうちに不幸が来ていたり、不幸だ不幸だと思っているとその不幸のうちに、幸福の種子が隠れていたりします。幸福になりたいと思う人は、第一にこのことを知ることが大切です。(中略)望みをもって努力することそれ自身がすでに幸福なのです。
ー羽仁もと子著作集第十二巻 『若き姉妹に寄す』よりー