2026年1月31日

2月 「子供は弱者なり」 

 子供というものは、いろいろな意味においての弱者です。よいものをたくさんに持っている弱者です。子供の世界はまた子ども自身の目にも親の目にもはっきり見えない、いろいろのよいもののたくさんにある国です。子供の世界の有望なのは、いうまでもなく、その中にいろいろ良いものをもっている故ですが、またいま一つにはその弱者であるためです。それによい環境を与えれば、どんどん早く進歩してゆきます。それが反対であったら、またどんどん悪くなるわけです。

 教育は深遠なものであるだけ、一方においては気の長い仕事であり、それなのに他の一方においては、油断も隙もならないほどに速度の早い仕事です。子供という微妙な活きものの世界であるからです。まず第一にここに目をつけなくては、よい教育はできないと思います。

『子供は弱者なり』羽仁もと子著作集「教育三十年」